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東郷青児と広告デザイン展

東郷青児は留学中(1921―1928年)の1924、1925年にギャラリー・ラファイエット百貨店のニース支店とパリ本店で装飾美術の仕事をしました。またこの頃、トルストイが周囲の農民たちに自分の小説を読み聞かせ、農民たちが理解できるまで書き直したという新聞記事に感銘を受け、誰にでも理解できる絵画を志したともいわれています。
 帰国後は絵画制作だけでは生活ができず、『新潮』『中央公論』『文学界』などに寄稿して何とか生活を続けました。1930年には読売新聞漫画部員となり『読売サンデー漫画』に漫画作品を発表しています。1933年より安田火災(現損保ジャパン)の前身である東京火災のパンフレットやカレンダーで東郷の作品が採用されるようになり、1963年から1978年まで安田火災の贈答用扇子のデザインを手がけました。
 東京都内では、自由が丘の「モンブラン」、成城・駒込の「アルプス」、渋谷の「フランセ」などの洋菓子店の包装紙をデザインし注目を集めました。また、東郷は、清酒ボトルのデザインや書籍の装丁をするなど、生涯を通じて広い視野の中で活動を続けたといえます。
 本展では、絵画作品の展示に合わせて、東郷が執筆・翻訳した書籍、装丁・挿画を担当した書籍、東郷作品を使用した包装紙、紙袋、風呂敷、扇子、リーフレット、カレンダー、レコード・ジャケット、化粧品、食器(グラス、皿)、オリンピック記念メダルなどを展示し、東郷の幅広い活動の軌跡を御紹介します。

開催概要

会期
2005年12月17日(土)-2006年1月14日(土) 
月曜休館、年末年始休館(12月26~1月4日) 
会場
損保ジャパン東郷青児美術館
〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル 42階
開館時間
午前10時~午後6時まで(入館は5時30分まで)
観覧料
一般500円(400円)/ 大・高生300円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金
小中学生無料
主催
損保ジャパン東郷青児美術館

展示構成

第1部
東郷青児の絵画・素描など約70点を展示します。 東郷が手がけたデザインの仕事(リーフレット、カレンダー、扇子等)の原画や、初期から晩年までの女性像を捉えた代表作品を展示します。
第2部
東郷青児が手がけた絵画以外の仕事を展示します。包装紙、紙袋、菓子缶、扇子、リーフフレット、カレンダー、贈答品グッズ、絵皿、グラス、レコード・ジャケット、メダル、書籍漫画などを展示します。

東郷青児と広告デザインについて

「少年の頃から、絵と音楽と文学の間に挟まれて、夢のように過して来た。」と述べているように、東郷は、幼少の頃からジャンルを問わず芸術に関心があったようです。青山学院中学部在籍中に、竹久夢二の雑貨店「港屋」の商品製作に携わり、雑誌に駒絵や草画を投稿し、その早熟な才能をみせています。  東郷は、コントラバス奏者の原田潤の紹介で、山田耕筰が組織した東京フィルハーモニー赤坂研究所の一室をアトリエとして使うようになり、毎日聞こえる音楽に刺激を受け、声楽家を目指して上野の音楽学校を受験し失敗しています。
そして、18歳で個展を開催し、翌年の二科展では初入選、二科賞を受賞するなど華々しく画壇にデビューするも、雑誌への寄稿、化粧品会社の図案や万年筆の広告制作に関わるなど、画業以外でもさまざまな活動を続けました。その後の7年間にわたる留学中も、装飾ガラスの図案工となり、ギャラリー・ラファイエット百貨店で装飾美術の仕事をこなすなど、海外でもその才能は遺憾なく発揮されています。
東郷の絵画作品に合わせて、東郷のデザイン・ワークを紹介する本展覧会は、東郷の多様な活動とその制作物の豊富さ知り、画家の仕事の可能性の広がりについて検証する好機であるといえます。

主な作品

東郷青児《黒い手袋》1933年
『東京火災』案内リーフレット
東郷青児《婦人像》1936年
『東京火災』案内リーフレット
東郷青児《超現実派の散歩》1929年
東郷青児《望郷》1959年
東郷青児《花束》1960年
東郷青児《鳥と少女》1971年